瘋癲中年日乗

麻布怪談[2010年02月08日(月)]

「麻布怪談」 小林恭二 文藝春秋 ☆☆☆ 2009年11月15日初版
img20100208.jpg 大阪の儒家に生まれた真原善四郎は若くして妻を亡くし、不惑を前に江戸に出て親に隠れ国学を学ぶ。その家に狐が化けた女や幽霊の女が訪ねてきて…。と、葛の葉(こちらの女の名はゆずり葉)やら牡丹灯籠(ちょっと違うか? こういう幽霊の話は他にあったような気もするが思い出せない)やらの面影を持ってきて軽い読み物に仕立て上げています。主人公が儒学から国学水戸学に進むのと、化けギツネ、幽霊が関係を迫るというあたりでもう少しなにかあるのかと思ったけれどそういうことも無いようで。

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終の住処[2010年02月08日(月)]

「終の住処」 磯崎憲一郎 新潮社 ☆☆★ 2009年7月25日初版
img20100208.jpg これはよくわからない。結婚というのはこういうものだという話なのか? その経験はないからなー、いまひとつピンとこない。

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QED百人一首の呪[2010年02月08日(月)]

「QED百人一首の呪」 高田崇史 講談社ノベルス ☆☆★ 1998年12月5日初版
img20100208.jpg 百人一首関連の美術品収集家の会社社長が自宅で殺され続いてその長女も殺される。謎を聞かされた漢方薬局に勤める桑原祟は、百人一首の謎を解きながら殺人事件の謎にも迫るが…。百人一首の謎の解答としては面白いけれど(いくらか強引なところはあるが)殺人事件との関わりはちょっと無理筋か。

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紙屋悦子の青春[2010年02月03日(水)]

「紙屋悦子の青春」 黒木和雄 2006年公開
 昭和二十年春。鹿児島で兄夫婦と暮らす悦子に結婚の話が持ち込まれるが…。物語は小さなエピソード風のものだけですが、時代だけにそれなりに。ただ冒頭、老境に入った原田知世と永瀬正敏が殺風景な屋上のようなところで並んで座って話している長いシーンがあるのですが、二人とも老人に見えないのと、東山千栄子と笠智衆みたいなわけにはいかず、どうなることかと心配してしまいました。メインテーマ(音楽:松村禎三が印象に残ります。
 同じ時代背景ということもあり、軽い笑いをまぶした作り方といい、こうの史代の漫画「この世界の片隅に」を少し思い出しました。発表されたのは「この世界の片隅に」のほうが後ですが。

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悲しみを聴く石[2010年02月01日(月)]

「悲しみを聴く石」 アティーク・ラヒーミー 白水社 ☆☆☆☆ 2009年10月25日初版
img20100201.jpg その部屋のベッドの上に戦場から負傷して(それも内輪もめの喧嘩で)植物状態になって帰ってきた男が寝ている。その傍らで祈りながら看病する妻、やがてその女は動かずもの言わぬ夫に向かって秘密を語りだす。一幕物の芝居のような展開で物語は進み、女の告白にぐいぐいと引き込まれていきます。舞台はアフガンのどこかの町を思わせますが、作者の意図したように、それにとらわれぬ普遍性はあります。
 『原題の「サンゲ・サブール」とは、ペルシア語で「忍耐の石」。その魔法の石に向かって、人に言えない不幸や苦しみを打ち明けると、石はそれをじっと聞き、飲み込み、ある日、粉々に打ち砕ける。その瞬間、人は苦しみから解放される、というペルシアの神話からとられている。』だそうです。

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乱神[2010年02月01日(月)]

「乱神」 高嶋哲夫 幻冬社 ☆☆ 2009年12月10日初版
img20100201.jpg 第九回十字軍に参加した何人かの兵士が漂流して元寇の頃の日本に流れ着き、博多で対モンゴル軍の指揮を執るという話なのですが、これはなんだろう? 歴史のifでもないし、人物像がきちんと描かれているわけでもないし、うーん。

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警官の血[2010年01月29日(金)]

「警官の血」上下 佐々木譲 新潮社 ☆☆☆★ 2007年9月25日初版
img20100129.jpg 道警シリーズとは違って、戦後から平成までの祖父、父、子、三代の警官の物語。祖父は駐在所勤務をしていたが、谷中の五重塔が焼失した夜に不振死を遂げる。父は70年代初め過激派に潜入捜査官として入り込み、幾つもの手柄を立てるが、潜入捜査によるPTSDを抱えて、家庭は崩壊寸前になるが、祖父と同じ駐在所に赴任することでいくらかの改善を見る。そこでかつての祖父の死の謎を探り始めるが…。そして子は、警務部に配属され、捜査四課、暴力団担当のある捜査員の調査を命じられるが…。祖父の死の問題をもう少し大きな伏線にするのかと思ったが、そうはせずに三代それぞれの時代との関わりで物語が進み、最後の落としどころも好き嫌いは別にして良くできていると思います。

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闇の子供たち[2010年01月28日(木)]

「闇の子供たち」 阪本順治 ☆☆ 2008年公開
 タイの、臓器売買のために殺され、また性的虐待を受ける子供たちにかかわる日本人たちの物語。見ててなんて下手なんだとイライラしてきます。テーマは別として。まあ、簡単に解決の付く問題ではありませんから、ドキュメンタリー風味を狙ったのかもしれないのか、あるいは上映時間が長過ぎるので、大幅なカットをしたのかもしれませんが、もう少しまとまりのあるストーリーにできると思うのですが。

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狩猟サバイバル[2010年01月26日(火)]

「狩猟サバイバル」 服部文祥 みすず書房 ☆☆☆ 2009年11月25日初版
img20100126.jpg 著者はサバイバル登山と呼ぶ『身体から装備を外し、米と調味料以外の食料をザックから抜き、五万分の一の地形図以外の情報から目も耳もふさいで、登山道をつかわず、長く山を旅するというスタイル』を実践しています。そこで、食料は魚を釣り、猟期には散弾銃を持ち、鹿などを撃ちその場で解体して食料にするという形の登山を実行しています。そこから見えてくる生き物を殺して食べる、という行為を考えているようです。読み出して最初は登山や、人と動物(広い意味での自然)との対峙のあり方に共感していたのですが、読んでいるうちに何か違うのではないか?という疑問が出てきました。一番の問題は、著者が猟師を生業としているわけではないということ。そのためどうしても殺生について語るとき、後ろめたさに対する弁解じみた意識が抜け切らない。あるいはそういうものが無いとしたら、ただの自慢話になりかねない危うさがある。自然に対する方向には共感できるだけにそこがどうも。まあ、まだどこかに向かう過程なのだと思っていますが。
 思い出すのは辻まことがバンドリ(ムササビ)撃ちに熱中していたとき、父親の辻潤から、生き物を殺すことがそんなに面白いかと詰問されたときのエピソードですが、こういう問題はこういった(ある種の)紀行文ではなくフィクションという形の方が合うのかなとも思っているのですが。

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サロゲート[2010年01月26日(火)]

「サロゲート」 ジョナサン・モストウ ☆☆☆
 近未来、ほとんどの人々が自宅で暮らし自分とリンクしたサロゲートというロボットに生活を代行させている世界。そこにサロゲートを破壊することで、リンクした人間をも殺すという事件が起こる。事件を重大視したFBIが動き出すが…。という話なのだが、うーん設定がかなり無茶だな。だいたい自分が家に寝ていてロボットに生活を代行させてなにが楽しいんだろう?と思ってしまうし、そのことで犯罪が劇的に減ったというが、逆に増えそうな気もするし。まあ、インターネットの世界を拡大した比喩なんだろうけど。とはいえ物語自体はまずまず。いろいろ面白い問題はあるんですけどね、老いの問題とかそのあたりにはあまり深くは踏み込んでいないけれど。

Posted at 15:08 | 映画 | この記事のURL | Clip!! | コメント(0)

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