「狩猟サバイバル」 服部文祥 みすず書房 ☆☆☆ 2009年11月25日初版

著者はサバイバル登山と呼ぶ『身体から装備を外し、米と調味料以外の食料をザックから抜き、五万分の一の地形図以外の情報から目も耳もふさいで、登山道をつかわず、長く山を旅するというスタイル』を実践しています。そこで、食料は魚を釣り、猟期には散弾銃を持ち、鹿などを撃ちその場で解体して食料にするという形の登山を実行しています。そこから見えてくる生き物を殺して食べる、という行為を考えているようです。読み出して最初は登山や、人と動物(広い意味での自然)との対峙のあり方に共感していたのですが、読んでいるうちに何か違うのではないか?という疑問が出てきました。一番の問題は、著者が猟師を生業としているわけではないということ。そのためどうしても殺生について語るとき、後ろめたさに対する弁解じみた意識が抜け切らない。あるいはそういうものが無いとしたら、ただの自慢話になりかねない危うさがある。自然に対する方向には共感できるだけにそこがどうも。まあ、まだどこかに向かう過程なのだと思っていますが。
思い出すのは辻まことがバンドリ(ムササビ)撃ちに熱中していたとき、父親の辻潤から、生き物を殺すことがそんなに面白いかと詰問されたときのエピソードですが、こういう問題はこういった(ある種の)紀行文ではなくフィクションという形の方が合うのかなとも思っているのですが。